塾講師がやっている「お子さんのやる気」を引き出す具体策

1.宿題を「時間」で区切らない

2.自分の成果を「見える化」する

3.「将来の楽しい姿」を想像する


お子さんの塾がない日は,家で親御さんが塾の活動を補う,というご家庭も多いでしょう.お子さんのどのようにはたらきかければよいかいつも迷う,思わず叱ってしまう.そのようなときは,上の3つの方法を実践してみてください.

1.宿題を「時間」で区切らない

多くのご家庭では,宿題の時間を何時から何時までと区切ってお子さんに言い渡すでしょう.それも一つの方法ですが,「問題数」で決めた方がやる気が出ることがあります.

「この時間までずっとやらないといけないのか…」よりも,「とにかくこれだけを終わらせれば,あとは好きなことができる.であればさっさと終わらせよう」と考えるタイプのお子さんであれば,ずっとうまくいきます.

また,親御さんの悩みの多くは,「お子さんが課題に進んで取り組まない」ということでしょう.これについても,最初は課題の数を少なめに設定して,少しずつ多くしていくことで,自然と家庭学習が増えていきます.

2.自分の成果を「見える化」する

塾の問題集をもとに,自分の成長を「見える化」する方法です.

問題が解けたら,その問題の問題番号を斜線で消します.問題ができなかったら,その問題番号に○をつけておきます.こうして記録を残しておき,○のついている問題から解き直しを進めます.

問題ができるようになっていたら,○は消さずに(重要です!)そのとなりに斜線を書きます.こうして,自分ができるようなってきた「学びの足あと」を自分で分かるようにするのです.

最初は○ばかりついたとしても,気にする必要はありません.しだいに○は減ってきます.また,親御さんは,機会があるごとにページを振り返り,○から斜線になったことをお子さんに思い出させてあげます.こうすることで,お子さんは自分が変化していることに気づきやすきなり,これはすなわちやる気につながります.

3.「将来の楽しい姿」を想像する

試験などの結果が芳しくなかったとき,あるいは悪くはないときでも,できなかったところに目が行きがちです.そうすると,親としては「どうしてできなかったのか」という問いかけになってしまいがちですね.あるいは,親も子も,自然とそんな方向で話をしがちです.

誰だって,どこが悪かったかという文脈で問われれば,萎縮して続けたくなくなります.ここはひとつ意識的に,親から子に向かって「今回どこがうまくいったか」「うまくいったのはなぜか」という問いかけをしてみましょう.こう問いかけられれば,誰でも気持ちよく話したくなるものです.

その延長で,「もっとうまくいくにはどうしたらいいか」と問いかけます.そうすると,お子さんから前向きな気持で改善点を引き出せるでしょう.もちろんお子さんだけでは不十分ですので,親からも提案します.ただし,叱るのではなく,あくまでも冷静に.ニコニコするくらいでもよいでしょう.

これをもっと発展させる場合は

「うまくいく未来を誇張して問いかける」ことです.

たとえば,今60点だったら

「70点とったら,80点とったらどうだろう?」

さらに先を考えて

「合格したときの気分を想像してみて」

「合格したら学校で何をしたい?」

「お母さんやお父さん,他の家族や周りの人は何というだろう?」

こんな問いかけをしてみましょう.お子さんは自分が成功した姿を,ぼんやりとは言え意識することで,やる気の上昇が期待できます.

さて,とはいえ,親子の場合そうそううまくはいきません.一番の理由は,親が子に期待しすぎてしまうからです.

「このくらいはできて欲しい」,「もっとできて欲しい」と願ってしまい,思い通りにならないお子さんにイライラし,最終的にはしかってしまうのです.「勉強しなさい」としかって,勉強するお子さんはいません.それをわかっていても,しかってしまうのは,もはや親の性なのかもしれません.

お子さんの方も,親への甘えが生じてしまって,なかなか真剣に取り組めません.一方塾講師は,よく言えば中立的,お子さんに冷静に接することができます.悪く言えば期待がありませんので,お子さんの能力に差があることも受け入れられます.

また,お子さんも塾に行き,他人である講師に接する方が当然緊張感があります.家庭教師の場合は,親と塾講師の中間かもしれません.お子さんに合う先生がいれば,落ち着いて気分よく勉強を進めることができますが,どうしても慣れてしまう傾向はあります.そのバランスをいかに取るかは,家庭教師の腕の見せどころでもあります.

結局,人は外で緊張し(大人であれば外で仕事をして,子どもであれば学校や塾などで活動して),そして家ではくつろぐのが最もバランスとの取れた生活なのでしょう.中学校受験では,お子さんは塾で競争し,家にもどれば落ち着いて家庭学習に取り組むべきなのです.その環境を親は整えるべきでしょう.

お子さんは塾で十分に疲れています.親は,それを見守ることと,規則正しく健康な生活を送るためのサポートに徹したいものです.

とはいえ,家庭学習の質は合格に直結します.おこさんへのはたらきかけは,まず

1.宿題を「時間」で区切らない

2.自分の成果を「見える化」する

3.「将来の楽しい姿」を想像する

を実践してみてください.