集団指導がよいか,個別指導がよいかの議論に決着をつける

学力(認知能力)を伸ばす場合,率直に言うと個別指導に越したことはありません.個別指導であれば,完全に一人のお子さんの状況に合わせることができます.もちろん個別指導だけでは不十分なところもあります.集団指導にもよいところがあります.

しかし,主体を個別指導にできれば,それが理想的です.受験は資金力か,と問われればYESと答えざるを得ません.

ただ,多くのご家庭は集団指導,あるいは少人数指導を選びます.

集団指導のよさは費用面にあります.また,多くのお子さんは集団指導で問題ありません.

お子さんは学校で集団生活を行っています.親も社会生活,つまり集団生活を行っています.それは人間の一般的な姿であり,それでなんとかなっているのです.熱意の差はあれ,お子さんは塾ですごしていくでしょう.

ただ,しばしば塾でうまくいかないケースが生じます.その場合は,個別指導への切り替えを考えるべきでしょう.


その前に,塾でうまくいかない原因を分解していきましょう.

集団塾で対象にしている塾生は,大まかには「中の上」くらいのイメージです(これは学校の場合,中の下くらいでしょう).人数が多ければ多いほど,講師は下のお子さんには手が回りません.その意味では,学校教師も集団指導の講師も同じです.

つまり,塾でうまくいかないということは,ほとんどの場合「中の上」に当てはまらないということです.

そうなってしまう理由を2つに分けて考えます.

1つは,学力面で極端に優秀な場合です.

この場合も個別指導がよいでしょう.ただし,あまり一般的なケースではないため,ここでは触れません.

2つ目,大多数は,集団指導での速度についていけない場合です.さらにこの場合を3つに分解していきます.

① 理解が遅い場合.

中学受験という尺度で考えた場合,残念ながらお子さんの能力には優劣があります.どうしても理解が遅いお子さんはいますので,そういう場合は個別指導でじっくりと取り組むことが必要でしょう.

② 細かいことが気になって,解決しないと進めない.

理解力自体は高い場合も多くあります.じっくり取り組む課題の場合に,他の人以上の成果を発揮する場合もあります.ただ,中学受験は解くスピードを求められる世界なので,集団についていくという点で向かないのは確かです.この場合も,お子さんの特性に応じて対応できる個別指導が適するでしょう.

③ 早く考える癖ができていないお子さんです.

1分で解き終わる問題なのに,なぜか5分かかると決めつけてしまっている,それが当然だと思ってしまっている.

試験というのは,時間内でどこまで解くことができるかの短距離走であるのに,それを意識していない場合があるのです.個別指導を続けてきた経験からいうと,実は6割くらいがこのケースに当てはまり,個別指導で大きく改善できるポテンシャルがあります.

早く考える癖のないお子さんは,講師が並走するイメージでひっぱってあげます.テンポよく解説し,すばやく問いかけ,その余韻でお子さんがすばやく考えて,すばやく解答するように促します.

例えば,基礎計算問題10問を3分で解く練習を行ったり,すばやく問答を繰り返したりして,あなたはこのくらいのスピードで走ることができる,このくらいのスピードで走らなければならない,と説明してあげるのです.こうした個別指導講師の並走を数ヶ月続けることによって,そのあと集団指導に加わってもやっていけるようになります.


お子さんの状態に合わせて学力を伸ばすには,個別指導に勝るものはありません.ただし,現実的には受験の準備は集団指導が基本です.お子さんが,その集団指導に合ってないと思う時,原因を考えながら個別指導を選択肢に入れて下さい.

このとき気をつけていただきたいのは,集団指導も個別指導も「商売」だということです.

うまくいっていない対象である集団指導内の相談相手は,何かを理由をつけて,あなたを逃がそうとしません.相談にいく個別指導の講師は,あなたの悩みがなんであっても,「うちで対応できます」としか言いません.結局決断するのは親御さんなのです.

お子さんにもっとも長時間接していて,良くも悪くも,お子さんにもっとも声がけできるのも親御さんです.ただ親御さんはお子さんに対して中立でいられるわけではありません.なぜなら自分の子どもだからであり,どうしても期待をかけてしまうからです.

あるいはそんなときは,中立の塾カウンセリングに相談するのもよいでしょう.