定滑車(ていかっしゃ)と動滑車(どうかしゃ)を使った問いの考え方
滑車は,私たちの普段の生活で見かけることはありませんが,重い荷物を運ぶ場所ではよく使われています.
まず「定かっ車と動かっ車しくみ」を理解するのに必要な用語を確認します.
※かっ車 … 軸のある円盤にロープをそわせて使う道具です.
※定かっ車 … かっ車が天井や床などに固定されている場合,定かっ車とよびます.
※動かっ車 … かっ車がロープでつられていて,上下に動くことができる状態の場合,動かっ車とよびます.
※手で10kgの荷物をささえる場合,次のように手から荷物にはたらく力を矢印で表します.
※定かっ車で荷物を引き上げる場合,次のように力の向きが変わります.
定かっ車ルール:定かっ車は力の向きを変える.力の向きを変えるだけで,必要な力は同じ.
※動かっ車で引き上げる場合,ロープにかかる力が小さくなります.
動かっ車ルール1:動かっ車を使うと,荷物をBとCの2つのロープで持ち上げることになり,動かっ車を引き上げるそれぞれのロープにかかる力は2分の1(この場合それぞれ5kg)になります.
動かっ車ルール2:ひとつながりのロープは,同じ力がかかっていると考えます.Bのロープ,Cのロープにかかる力は,それぞれ5kgである.Dのロープにかかる力も5kgです.
※定かっ車1つと動かっ車1つを使って引き上げる場合,人と関係は次のようになります.
このとき,人は何kgの力で荷物を持ち上げることができるでしょうか.
①BとCの2本のロープで10kgの荷物を引き上げます.10kgをBのロープで5kg,Cのロープで5kgに分けると考えます.
②B点,C点にかかっている力は5kgで,D点でも同じになります.つまり,この荷物を持ち上げるのに必要な力は5kgです.いいかえると,人がロープをひく力の2倍の重さの荷物を持ち上げることができます.
問題を解く時は,人が引く力を基準にしないとうまくいきません.次のように□を使いましょう.
人がD点で引く力を□kgとすると,B点もC点も□kgです.Aのロープを引き上げる力は,Bで□kg,Cで□kgとなり,2本のロープをあわせて,2×□kgです.2×□kg=10kgなので,□は5です.
定かっ車と動かっ車を次の例題①~④のようにくみあわせたとき,手は何kgの力でおもりを持ち上げることができますか.
※おもりは100gです.
※かっ車やロープの重さは考えないものとします.(←多くの問題ではこの条件がお決まりです.かっ車の重さも考えると計算がややこしくなります)
<例題①>
100gのおもりを持ち上げるのに必要な力は何gでしょうか.
<①の解き方>
つまり,手がロープを引く力□は,4倍になって100gのおもりを引き上げる力になります.
いいかえると,手は,おもりの4分の1の力でおもりを引き上げることができます.
おもりの重さは100gなので,手が100gを持ち上げる力を求めるには4で割ります.
100〔g〕÷4=25〔g〕 答え 25g
<例題②>
100gのおもりを持ち上げるのに必要な力は何gでしょうか.
<②の解き方>
つまり,手がロープを引く力□は,3倍になって100gのおもりを引き上げる力になります.
いいかえると,手は,おもりの重さの3分の1の力でおもりを引き上げることができます.
おもりの重さは100kgなので,手がおもりを持ち上げる力を求めるには3で割ります.
100〔g〕÷3=33.33…〔g〕 答え 約33.3g
<例題③>
100gのおもりを持ち上げるのに必要な力は何gでしょうか.
※動かっ車の大きさがちがっていても気にしない.
<③の解き方>
つまり,手がロープを引く力□は,5倍になって100gのおもりを引き上げる力になります.
いいかえると,手は,おもりの重さの5分の1の力で,おもりを引き上げることができます.
おもりは100gなので,手がおもりを持ち上げる力を求めるには5で割ります.
100〔g〕÷5=20〔g〕 答え20g
<例題④>
100gのおもりを持ち上げるのに必要な力は何gでしょうか.
<④の解き方>
それぞれの動かっ車について考えていきます.
つまり,手がロープを引く力□は,8倍になって100gのおもりを引き上げる力になります.
いいかえると,手は,おもりの重さの8分の1の力で,おもりを引き上げることができます.
おもりは100gなので,手がおもりを持ち上げる力を求めるには8で割ります.
100〔g〕÷8=12.5〔g〕 答え12.5g
<第2回>
<第3回>